大阪工業大学など、ロボット遠隔操作で河道閉塞復旧 作業内容に応じ組み換え
近年、豪雨災害の深刻さが増している。洪水のほか地滑りや崖崩れなどの土砂災害の被害も大きい。その結果、大量の土砂が河川をせき止める「土砂ダム」による「河道閉塞(へいそく)」も多く発生している。上流では浸水、下流では土石流を引き起こす現象で早急な対応が不可欠だが、山間部の現場へ迅速にたどり着き作業を行うのは難しい。そこで遠隔操作が可能なロボットで対応する研究が進んでいる。
河道閉塞は上流側では大量の水がたまることで浸水が発生し、水の重みに「土砂ダム」が耐えきれず決壊すると下流で大規模な土石流が発生する現象だ。豪雨や台風、地震が引き金となって起き、既に発生した現場に雨が降ることで状況が変化していくため、迅速で柔軟な作業が求められる。ただ、山間部の現場近くまでの道路は寸断されがちで、大型重機の搬入が困難な地形も多い。そのため、危険な現場ながら手作業での復旧作業も多く、作業負荷が高く効率性を高めるのが難しい上に二次災害のリスクも高いという大きな課題を抱えてきた。
そこで大阪工業大学ロボティクス&デザイン工学部の大須賀公一教授らは、北海道科学大学工学部の浪花啓右准教授や兵庫県立大学大学院工学研究科の角田祐輔助教と連携し、河道閉塞の現場にヘリコプターで搬入できる複数台の小型ロボットを使い、ロボット同士が連携して調査や作業を行う構想を描いた。
内閣府と科学技術振興機構が大胆で挑戦的な研究のために推進している、ムーンショット型研究開発事業の一つ「自ら学習・行動し人と共生するAIロボット」の「多様な環境に適応しインフラ構築を革新する協働AIロボット」プロジェクトの一環。遠隔操作が可能な約1トンのロボットをコンテナで搬入し、二次災害を防ぎながら安全に迅速な対応ができる。
その大きな特徴は「搬送するコンテナ自体もロボットになっている」(大須賀教授)点だ。用途や作業場面ごとに対応するロボットを変えるため、個々のロボットは軽量化が可能。作業内容に応じてコンテナ内で合体や組み替えを行い、場面ごとに必要なロボットを送り出す。
例えば、スムーズな走行機能を持つ移動ロボットと段差や溝などを乗り越えるための橋渡しロボット、現場調査用のロボットをコンテナ内で合体させれば、効率的な移動と足場の悪い場所での調査機能を両立しやすい仕組みだ。現場の様子がわかれば再びコンテナロボットが合体・組み替えを行い、走行ロボットが排水ホース設置ロボットを乗せて移動し、迅速な排水で決壊を防ぐなどの対応が可能だ。
全てのロボットで同機種のコンテナを使用する点もポイントとなる。「コンテナの機構に高さを合わせれば新たなロボットを追加できるため、高い拡張性を確保できる」(同)利点がある。2030年に実証機に近いプロトタイプの完成を目指している。


