世界最大級のソーラーカーレース「BWSC2025」がスタート オーストラリアを約3000km走行 – Car Watch

オーストラリア北部の都市「ダーウィン」から南部の都市「アデレード」までの約3000kmを総走行時間で競うソーラーカーレースがスタートした

 オーストラリアで開催される世界最高峰のソーラーカーレース「Bridgestone World Solar Challenge 2025」(以下、BWSC2025:現地時間8月24日〜31日開催)は8月24日、オーストラリア北部の都市ダーウィンでレースがスタートした。

「Bridgestone World Solar Challenge 2025」は、太陽光のみを動力源として、オーストラリア北部の都市「ダーウィン」から南部の都市「アデレード」までの約3000kmを総走行時間で競うソーラーカーレース。1987年から2年に一度開催されており、今大会で16回目を迎える。

 同大会には、23日に実施された予選を通過した東海大学、工学院大学、和歌山大学、大阪工業大学といった日本の大学チームも参加している。

スタートポイントから出発する東海大学ソーラーカーチームの10号車「Tokai Challenger」

 東海大学のソーラーカーチームは、1993年からBWSCに参戦し、2009年と2011年の大会で2連覇を果たしている。BWSC2025では、新型ソーラーカー「Tokai Challenger」を新開発して世界一奪還を目指すという。

東海大学ソーラーカーチームの10号車「Tokai Challenger」

 工学院大学の学生プロジェクト「工学院大学ソーラーチーム」は、2023年の前回大会以来、通算6度目の出場。2023年の大会では8位の成績を残している。2013年の初参戦から10年以上の経験と、前回大会の反省を活かした新車両「CYGNUS(シグナス)」で初優勝を目指す。

スタート地点を出発する工学院大学の88号車「CYGNUS(シグナス)」

 はくちょう座を意味する新車両は、製作過程のほとんどを学内設備で行なったチーム史上初の車両といい、軽量化と整備性を追求し構造をシンプルにしたことを特徴としている。

 チームは高校を卒業してまだ1〜2年のメンバーを中心にしており、監督の濱根洋人(工学部 機械システム工学科 教授)氏は「チームは下級生を中心でやっています。すべて学内生産を目指すことで、炭素繊維の積層から、ボディ成形とか、足まわりとかも、ほとんど全部学内でやっています」とチームの特徴について話した。

予選を走行する工学院大学の88号車「CYGNUS(シグナス)」工学院大学ソーラーチーム

「和歌山大学ソーラーカープロジェクト」は、前回の2023年大会に初出場し、2回目の挑戦。今大会に向けて約1年半をかけて開発した新車両「YATA(ヤタ)」は、前回大会で約3000kmのコースのうち1000kmでリタイアしてしまった経験を糧にしたという。

スタート地点を出発する和歌山大学の61号車「YATA(ヤタ)」

 軽量化と空力性能の向上を追求し、電気系統もいちから設計。さらに安全性や整備性の向上にも力を入れ、あらゆる面で前回を大きく上まわる完成度を実現したという。

予選を走行する和歌山大学の61号車「YATA(ヤタ)」和歌山大学のチーム代表の大倉啓輔さん

 チームは国内大会の参加経験はあるものの、世界大会への挑戦は2回目となり、チーム代表の大倉啓輔さんは「世界を見わたすと、まだまだいろんなチームが参加していて、今回は初めて見るチームもたくさんあって、盛り上がりのある大会だなというのと、僕たちも3000kmを事前にアデレードからダーウィンまで逆走してきたのですが、相当長い過酷なレースだなというのを改めて実感しました」との感想を話した。

ボディの修復を終えて出発する大阪工業大学の78号車「scewera(シウィラ)」

 大阪工業大学の学生プロジェクト「ソーラーカープロジェクト」は、今大会初出場。大阪工業大学のソーラーカープロジェクトは2006年に創立。コンピューターシミュレーションを使ったボディ構造の最適化や車体の性能試験などから、理論やデータに基づいたものづくりに取り組んでいるという。

 出場車両「scewera(シウィラ)」は、現在のトレンド「モノハル(単胴船)型」を取り入れ、空力性能向上と車両軽量化に重点を置いて設計。学生が設計から製作まで手掛けた車体は、空力性能に優れたスリムなボディと長く安定したホイールベースが特徴。

予選を走行する大阪工業大学の78号車「scewera(シウィラ)」出発前にインタビューに応える大阪工業大学のチーム代表 宮大岳さん

 同チームは予選走行で転倒してしまい車体にダメージを負ったが、朝までに修理を完了させ、無事にスタートできた。チーム代表の宮大岳さんは「初参戦ということですが、無事完走して、堂々と日本を誇れるようにやっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします」と意気込みを話した。